頭痛とは
頭痛には、さまざまなパターンが存在し、頭がずっしりと重い感じがしたり、ズキズキと鋭く刺されたような痛みを感じることもあります。また、性別や年代でかかりやすい頭痛に違いがあり、女性特有のものや子供がかかりやすいもの、高齢者に多いものなどがあります。
頭痛は症候性頭痛(くも膜下出血や脳腫瘍、緑内障などの病気が原因で、その症状のひとつとして頭痛が発生する)と、慢性頭痛(頭痛そのものが病気で、機能性頭痛とも呼ぶ)のふたつに分けられます。
後者の慢性頭痛として代表的なのは、緊張型頭痛(筋肉のこりが原因)、片頭痛や群発頭痛(頭の血管の過度の拡張が原因)などですが、これらは適切な治療で改善します。長年頭痛に悩まされていたり、痛みを鎮痛剤でごまかしながら過ごしている方は多いですが、「昔から頭痛持ちだから」とあきらめずに当院までご相談ください。
こんな感じの頭痛は危ないです!
頭痛は多くの人が経験済みのよくある症状です。例え定期的に起こっている場合でも、基本的には心配のないケースがほとんどです。しかし、中には放っておくと命に関わる恐ろしい頭痛もあり、その場合は早急な治療が必要です。以下のどれかにあてはまる場合は当院までご相談ください。
- これまで感じたことのないような激しい頭痛がある
- 早朝または朝方に頭痛がする
- 1週間以上、ひどい頭痛が続いている
- 頭痛がどんどんひどくなっている
- 頭痛+吐き気やめまい
- 頭痛+麻痺やしびれ、けいれん
- 頭痛+ろれつが回らないなど言葉がしゃべりにくくなっている
- 頭痛+ものが見えにくくなったり、二重に見えたりしている
当院の頭痛外来の特徴(診察・検査・治療等)
当院の頭痛外来では、触診して痛点を確認し、さらには神経学的なチェックを行って他の病気が隠れてないかを探ります。患者様に多い緊張型頭痛の場合は、首に問題があるケースも存在するため、首の写真を撮ったり、首の硬さを触診して確認します。その上で注射などの物理療法を取り入れることもあります。
頭痛は、誰もが一度はかかった経験を持つポピュラーな症状であるせいか、「寝ていれば治るだろう」と考える人もいらっしゃいます。しかし、日々頭痛に悩まされ続けることは思った以上に大きなストレスとなる場合も多いのです。その場合、頭痛から解放されることが社会的な生活の向上につながるケースも少なくありません。症状があったら、しっかりと受診して原因を見つけ、適切な治療を行うことが大切です。
頭痛の種類(一次頭痛、二次頭痛とは)
頭痛の原因は、下記のような刺激を受けることに起因します。
- 血管の拡張
- 精神的・肉体的な緊張
- 炎症
- 出血 など
頭痛は一次性頭痛(頭痛以外に特に目立った症状がない、慢性頭痛とも呼ぶ)と二次性頭痛(何らかの病気の症状のひとつとして頭痛が起こる)に分けられます。
一次性頭痛の場合、頭痛が起こるものの、原因がよくわからないことが多いです。頭痛で外来を受診する人のほとんどがこちらに当てはまります。命に関わることがないのが一次性頭痛ですが、痛みが激しく日常生活に支障をきたしている場合は治療を行います。一方の二次性頭痛は、ある病気の症状で、身体からの警告が頭痛として出ている状態です。速やかに原因を特定して治療に進むことが必要です。
一次性頭痛(緊張性頭痛・片頭痛・群発頭痛)‐慢性頭痛
片頭痛
月に数回ほど、左右どちらか、もしくは両側のこめかみにズキンズキンと脈打つような痛みが発作的に現れます。頭痛とともに吐き気を感じることもあります。片頭痛は女性に多い頭痛ですが、親の片頭痛が子どもに遺伝するともいわれています。
片頭痛の特徴
- 頭痛に加えて、首や肩のこりを感じる
- 20~50代の女性がかかりやすく、30歳までに発症することが多い
- 月に1~3回程度発症する
- 4時間~3日間ほど痛みが続く
- 遺伝しやすい
- 痛みは片側のこめかみを中心に起こり、ひどくなると頭全体に広がる
- 脈を打つようにズキンズキンと痛む
- 頭を振ったり、身体を動かしたりすると痛みが増す
- 痛みとともに吐き気を感じたり、嘔吐することもある
片頭痛の原因
頭部の血管が拡張して炎症すると、その周辺の神経が刺激されて片頭痛が起こります。原因としては強いストレスやホルモンバランスの乱れ、アルコールや食事などが挙げられます。
片頭痛の予防法
片頭痛は、日常生活でストレスを感じる場面が多いこと、寝過ぎまたは睡眠不足などの偏った生活習慣、物理的刺激(人混みや騒音、まぶしすぎる光など)などから起こります。また、運動をせずに過度な食事制限のみを行うといった無理なダイエットやアルコールの過剰摂取も片頭痛を引き起こします。予防のためには規則正しい生活を心がけましょう。
痛みを感じた場合は部屋を暗くし、こめかみを冷やすなどして安静にします。また、コーヒーや緑茶などのカフェインが入った飲み物は血管を収縮させる作用があるので、痛みを感じた際に飲むと症状が収まることもあります。
緊張型頭痛
重苦しく頭を締め付けられる感じがするのが特徴で、数日程度痛みが続きます。原因は肩や首の筋肉の緊張です。日本人は肩こりに悩む方が多いため、緊張型頭痛が起こりやすいといわれています。
緊張型頭痛の特徴
- じわじわとした痛みを後頭部から首筋の両側に感じる
- 頭に鉄の輪っかをきつくはめられているような感じがする
- 頭上に重石を載せられているような感じがする
- 頭痛だけでなく、首や肩のこりを感じる
- ふと気づいた時に痛み出し、いつまでも痛みが引かない
- 首を回す際にめまいがする
- 長時間のパソコン作業を行う習慣がある
緊張型頭痛の原因
頭から首、肩にかけての筋肉が緊張すると血流が悪くなります。すると、疲労物質が筋肉に溜まって神経を刺激し、緊張型頭痛特有の痛みが発生します。筋肉の緊張は、長時間同じ姿勢をとり続けることや、心配や不安などの精神的ストレスなどから発生します。緊張型頭痛は、痛みが起こることで元々あった筋肉のこりや血流の悪さがますますひどくなるため、痛みが長引きやすい傾向にあります。
緊張型頭痛の予防法
ストレスは緊張型頭痛の大敵なので、予防のためには趣味やスポーツなどで適度な息抜きをすることが大切です。また、デスクワークやパソコン作業、車の運転などで長時間同じ姿勢になってしまう場合は、時々休憩して軽いストレッチをしたり、一定時間ごとに姿勢を変えるなどの習慣をつけましょう。
また、眼精疲労や歯の噛み合わせ、合わないメガネによる圧迫、高さが合っていない枕などが影響していることがあるため、目や歯のメンテナンスをしたり、普段使っている生活用品を変えてみるのも良いでしょう。
群発頭痛
片目の辺りに我慢できないほどの強い痛みが走るのが特徴で、2年に1回または年1~2回程度のスパンで起こります。
片頭痛が女性がかかりやすいのに対し、群発頭痛は男性がかかりやすいといわれています。片頭痛や緊張型頭痛に比べると知名度が低く、患者数が少ない頭痛ですが、痛みのレベルが他の頭痛とは段違いで、日常生活に大きな支障があります。
群発頭痛の特徴
- 男性がかかりやすい
- 毎回同じ片側のみに痛みが出る
- 目の奥をえぐられるような痛み
- じっとしていられないような激しい痛み
- 15分~3時間ほど痛みが続く
- 1~2カ月間、痛みが出続ける
- 決まった時間に症状が現れることが多い
- 痛みのある方の目が充血したり、涙が出る
- 鼻水が出たり、額に汗をかくなどの症状を伴う
群発頭痛の原因
原因は今のところはっきりとわかっていません。ただ、発作中は目の後ろ辺りにある太い血管(内頸動脈)が腫れるため、その血管によって周りの神経が刺激されて激痛が起こるのではないかといわれています。自律神経が刺激されるので、痛みと同時に目の充血や鼻水、発汗などの症状が現れます。
群発頭痛の予防法
アルコールは頭痛を引き起こしやすくするので、発作期間中の飲酒は控えてください。入浴後に頭痛が起こるのであれば、シャワーのみにしましょう。また、血管を拡げる作用のある狭心症治療薬のニトログリセリンなどは頭痛を誘発します。服用している場合はかかりつけの医師に相談してください。
二次性頭痛
日頃から一次性頭痛(慢性頭痛)に悩んでいる方は、二次性頭痛が発生した時に「また、いつもの頭痛が起きてきた」と特別な処置をすることなく、放置してしまいがちです。しかし、二次性頭痛は命に関わる疾患の症状である可能性が高いため、自己判断は大変危険です。早急に受診してください。
くも膜下出血
頭が重く感じるが、さほど痛みはないといった軽いケース、バットで殴られたような強い衝撃と痛みで吐き気・嘔吐、意識喪失を伴うケースがあります。
脳出血
突然激しい頭痛に襲われて手足のしびれや脱力が起こるケース、徐々に頭痛がひどくなっていくケースがあります。言語障害や視野障害が起きるだけでなく、意識障害に至ることもある恐ろしい病気です。
脳腫瘍
主な症状は頭痛や嘔吐、進行性の片麻痺、けいれん発作です。脳腫瘍の場合は朝方に頭痛が起きますが、起床後は落ち着いてくることが多い傾向にあります。
髄膜炎
高熱やうなじのあたりの硬直、けいれんや意識障害、後頭部に強い痛みを感じるといった症状が現れます。ウイルスや細菌が髄膜内に炎症を起こしており、命に関わるため一刻も早く適切な処置を行うことが必要です。
慢性硬膜下血腫
若い方がかかった場合は頭痛を訴えることが多く、高齢の方がかかった場合は片麻痺や痴呆症状を伴うことが多くなります。
頭部に外傷を負うと徐々に血腫ができ、頭蓋内の圧が高まって脳を圧迫し硬膜下血腫が発生します。
頭痛チェックシート
頭痛にはさまざまな種類があり、「危ない頭痛」と「危なくない頭痛」に分類されます。慢性頭痛の多くは後者であり、さほど心配はいりません。ただ、慢性頭痛にもタイプ別の対処法があります。以下でご自身の頭痛がどのタイプなのかチェックしてみましょう。なお、このチェックは参考程度にし、頭痛に悩んでいる場合はお早めに医師にご相談ください。
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